Wikipediaとは実に優れたページだ。僕のような者でもインフルエンザの感染についての機序が理解できるように書かれている。新型インフルエンザについて考察している本ブログであるが、そもそもインフルエンザについて知っておくのもあながち無駄ではあるまい、敵を知る事は今のうちしかできないことであるし。Wikipwdiaより以下僕が理解した範囲でご紹介する。
インフルエンザウイルスはまず細胞表面に吸着する。この時重要な役割を果たすのが「ヘマグルチニン:HA」である(HAの型が5である物をH5と呼んでいる)、ヘマグルチニンは、細胞表面に存在する糖鎖の、シアル酸と結合する性質を持つ細胞表面に強く結合する役割を担った吸着因子である。ヘマグルチニンが結合するシアル酸はウイルスに対するレセプターにあたるが、ヘマグルチニンとレセプターの結合にはシアル酸の有無だけでなく、糖鎖においてシアル酸と結合しているガラクトース(糖の一種)の結合位置も同時に重要である。糖鎖におけるシアル酸とガラクトースの結合様式は宿主である生物種によって異なり、またウイルスの変異型によってヘマグルチニンが結合しうるシアル酸が異なるため、インフルエンザウイルスが感染しうる宿主には違いが生じる。
(この辺から難しくなってくる・・・鳥インフルとヒトインフルの違いについて述べられている)
ヒト由来のインフルエンザウイルスのヘマグルチニンは、シアル酸とガラクトースがα2→6結合(今の所僕にも不明なので結合の形態記号として認識することにした)したものだけを認識するが、トリ由来のウイルスはα2→3結合したものだけを認識する。そして、ヒトの気道上皮細胞ではα2→6型の糖鎖だけが発現しており、一方、トリの大腸上皮細胞では大部分がα2→3型である。このため両者は互いに交差的には感染せず、トリ由来のウイルスが直接ヒトの間で流行することがなく、その逆もまた起こらない最大の理由だと考えられている。ヒトの一部には遺伝的にα2→3型の糖鎖を持った人も存在することも報告されており、これらのヒトには直接トリ由来ウイルスが感染しうるが、大部分の(α2→6型糖鎖を持つ)ヒトの間での大流行にはつながらない。これが1997年以降、香港や東南アジアで発生しているトリインフルエンザ(H5N1)のヒトへの感染の原因ではないかと考えられている。
さてヒトインフルエンザウイルスであるが、細胞内に簡単に進入する。進入するというよりも取り込まれる、これを「エンドサイトーシス」という。細胞が細胞外の必要な物質を取り込んだり、また異物や病原体を取り込んで細胞内のリソソームという器官で消化してしまう為にある機序のようだ。本来このようにエンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれる事は、病原体にとっては、リソソームによる消化/殺菌を意味する為、エンドサイトーシス(細胞内取込)を逃れる方向に変化していった病原菌もある。しかしインフルエンザウイルスやアデノウイルス、結核菌等はこれを逆に利用して細胞内に進入し、リソソームの消化/殺菌を逃れる術を開発し、細胞を宿主化する事に成功した。
さて細胞内に進入したインフルエンザウイルスであるが、エンドソームと呼ばれる膜に包まれている。通常エンドソーム内部にあるタンパク質分解酵素などの働きで分解されたり、リソソームと協調して消化/殺菌されたりしてしまうが、インフルエンザウイルスはこの流れから巧みに逃れて、ウイルスの粒子から遺伝子(RNA)だけを細胞質内に放出(脱殻)する事ができる。ただしウイルスRNAが実際に細胞質に放出されるには、これに加えてヘマグルチニンのもう一つの性状が重要になっている。
(ちょっと難しい開裂の話・・・)
ウイルス粒子表面のヘマグルチニンは、最初HA0と呼ばれる一つのタンパク質であるが、気道や消化管の細胞や黄色ブドウ球菌などが分泌するたんぱく質分解酵素の働きによって切断され、HA1とHA2という二つのタンパク質になる。この現象をHAの開裂と呼ぶ。HAの開裂は、ウイルスの吸着や細胞内への取り込みには関係がないが、その後、ウイルス粒子が細胞内部で分解されてウイルス遺伝子を放出する脱殻の過程には必須である。HAが開裂するとその立体構造が崩れるため、ウイルス粒子が壊れやすくなるが、HA0の状態のウイルスでは強い立体構造のままであり脱殻が正常に起こらないため、その後のウイルスの増殖が起こらない。つまりヘマグルチニンが強い立体構造のままではエンドソーム(膜)から逃れてウイルス粒子からRNAだけを細胞質内に放出する事ができないと言っている。
しかし、インフルエンザウイルスの一部には、これらの特殊なタンパク質分解酵素に頼らずとも、細胞内に存在する通常のタンパク質分解酵素によって容易にHAの開裂を起こすものがある。このようなウイルスは気道や消化管だけでなく全身の細胞で増殖できるために、急激かつ重篤な感染を起こす。強毒型あるいは高病原性インフルエンザウイルスとよばれるものには、このように変異したHAを持つものが多いことが判っており、ニワトリに大量死を発生させる高病原性トリインフルエンザがこの代表例である。ヒト由来のウイルスはほぼすべて弱毒型であるが、唯一、1997年に香港で発生したH5N1亜型が高病原性であった。
インフルエンザウイルスの細胞への「吸着」「エンドサイトーシス」「脱殻」「開裂」まではなんとか理解できた。この後、細胞内でのRNAの自己複製と宿主細胞からの遊離過程があるのだが、長くなったので次の機会に譲るとしよう。
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