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2008年11月

2008年11月20日 (木)

■米国 pandemicflu.govのご紹介

米国のサイト「pandemicflu.gov」をご存知だろうか?米国政府の公式サイトで日本で言うところの「新型インフルエンザ」に対する米国の国家戦略を明示している興味深いサイトである。当然英語であるので、僕は検索サイトで「pandemic flu gov」で検索して、結果の横に表示される「このページを翻訳する」で見てみた。非常に荒削りというかほとんど間違った日本語に変換されるが、なんとなく言いたい事は汲み取れるレベルで表示された。

ページ右下の「国家戦略」をクリックすると、壮大な国家米国のまさに国家戦略が羅列されている。そして「大統領からの手紙」が「社長からの手紙」と翻訳されたりしているが、気にしてはいけない。

一読をお勧めしたい。

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2008年11月19日 (水)

■一人でも学級閉鎖って・・・?

今朝であったか、読売新聞にこう書いてあった「新型インフルエンザ、一人でも学級閉鎖」と。この表現は矛盾に満ちている。

今更言うまでも無いことだが、新型インフルエンザとは鳥インフルエンザが人に感染し、人~人に効率的に感染するようになったインフルエンザのことを言うのである。それを日本では「新型インフルエンザ」と呼んでいる。海外では「avian influenza:鳥インフルエンザ」や「Seasonal flu:季節性インフルエンザ」また「pandemic flu」と呼ばれていて、それらはそれぞれ異なりますとCDCが明言している。日本語で言う「新型インフルエンザは「pandemic flu」に当たるのかもしれない。正確ではないが。

呼び名はともかく。新型インフルエンザが一人というのはあり得ない話なのだ、悲しいかな。ある程度アウトブレイクして初めて怪しいとなる訳である。マカッサル然り、通常の季節性インフルエンザも然りである。毎年流行する季節性インフルエンザだって、ある程度の児童/生徒が欠席して初めて学級閉鎖になる。「新型だったら一人でも学級閉鎖しますよ」というのはその一人が新型である事が自明になっている事が前提であるのがおかしい。

あるいはこう解釈できるかもしれない。「自分の地域に新型インフルエンザは源発しない、よそで新型インフルエンザが発生したと言われだしたら、うちの学校では一人休んだだけでも学級閉鎖しますよ」と。もしこう解釈してよくて、それが実現できるならある程度の感染拡大防止に役立つかもしれない。しかし現実的にはどうだろうか?学校全体で一人の欠席者もいない日はあるのだろうか?そう考えると、毎日休校である。それでよいと英断できる人はいるのだろうか?

日本における「新型インフルエンザ」の呼称は実際のところ、疾病名ではなく、状態を指しているのかもしれない。outbreak又はpandemicそのものを「新型インフルエンザ」と捉えている感じだ。間違ってはいない、しかし少しずれている。H5N1の恐怖のあおり過ぎの産物なのだろうか?

視野を狭めてはいけない。攻撃側は攻撃個所に関する選択の自由を持っているが、守備側はそれを選ぶ自由はないのだ。北海道でももう既に学級閉鎖が発生してきている、例年よりずっと早い。これだって充分なサーベイランスが必要で、ウイルス型の同定も本来必要だと僕は思う。何故なら「僕は新型インフルエンザですよ」とウィルスは自己紹介してくれないからである。

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2008年11月18日 (火)

■マカッサルは続報なし・・・

インドネシア、マカッサルの17人入院の続報が無い。良い情報も無いし、悪い情報(例えば感染が広がっているとか)も無い。従って見守るしかない。何か無力感を感じる。

人様のご家庭で発生する病気について、近所から様子を伺っているような感じである。直接乗り込むわけにもいかず、かといって放置するのも不安である。しかし手詰まりである。

11/15(土)僕はインフルエンザワクチンの接種を受けた。¥2,100だった。2005年4月にどうやらインフルエンザに罹患したようだから、ブースター効果が期待できると思うのは素人の考えだろうか?それでも僕は思うのだ。インフルエンザに備えるべきだと。それが今できる新型への備えの一つである。

確かに現行のワクチンではIgG抗体を血中に産生するのみである。しかしIgA抗体を導くワクチンはまだ承認されていない。ならば現在できる事として毎年インフルエンザワクチンの接種を受ける事がベストの選択なのではないだろうか?

抗生物質「クラリスロマイシン」がIgA抗体の産生を導くという論説を以前ご紹介した。これは多分一種の副反応なのだろうが、僕の子供達が相次いで風邪をひいたので、医師にクラリソマイシンを処方してもらって試してみる事にした(ひどい親だ)、3日間朝/夕、水に溶いて飲むタイプだった。

結果は当然科学的なものではない。エビデンスもへったくれもない。ただ、ひどかった咳が軽快したような気がする。「クラリスロマイシン」が気道粘膜上にIgA抗体を産生させる証拠にはならないが、症状の上では感覚的にではあるが良くなった気がする。もちろん母数を大きくとって疫学上の統計をとらなければ意味を為さないことは承知している。

なので、これは僕のできる範囲での実験だったに過ぎない。蛇足ながら、クラリスロマイシンを風邪に処方しても別段不自然な事ではない事を付け加えておこう。

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2008年11月14日 (金)

■インドネシア17名の入院の件

現地時間で11/12~13日にかけて、インドネシア南スラウェシマカッサル市において17名が鳥インフルエンザの疑いで入院した事が報道されている。

ロイターでは「彼らの健康状態は良好である」と伝えている。

http://www.reuters.com/article/middleeastCrisis/idUSJAK57510

Seventeen people from the same neighbourhood in the Indonesian city of Makassar in South Sulawesi are due to be tested for bird flu after falling sick, a health ministry official said on Thursday. Chandra Yoga Adhitama, acting director-general of communicable disease control, said the group had been hospitalised after chickens in the surrounding area suddenly died.

「同じ近所」、「病気になった後、鳥インフルエンザの検査されることになっている」という表現が気になる。「鶏の突然死の後」入院したのは、症状が重篤になったからではなく、あくまで検査のためというのがロイターの論調である。現時点ではこれ以上患者が増える報道が出るのかどうか調べるしか手がない。朝から調べているが未だにそういう情報に行き当たらない。

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2008年11月12日 (水)

■全国の季節性インフルエンザ発生状況

全国で現在季節性インフルエンザがどの程度発生しているかを知る事ができるページがある。ご存知かも知れないが下記に紹介します。

MLインフルエンザ流行最前線DB
http://ml-flu.children.jp/

このページは全国の有志の医師の方たちの自主的な報告をデータとして表示しているようです。よって都道府県によって報告量の偏りがあるであると思われます。それを踏まえた上で参考情報として活用する必要があります。データは新しく、このページがきちんと機能している事を証明しています。臨床の現場でお忙しい中、自主的にデータを報告されている医師の方たちに頭が下がります。

上記ページによれば、2008/11/6~11/12までの1週間で52件の季節性インフルエンザの陽性報告があり、そのうち24件が大阪府、6件が和歌山県、3件が兵庫県となっており、大阪を中心に陽性報告が上がっている事が分かります。この偏りに意味があるのかどうかは微妙な所ですが、少なくとも以前(夏は)陽性報告はほとんどゼロでしたから、いよいよ発生シーズンに入った事を定量的に認識する事はできます。

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2008年11月11日 (火)

■厚生労働省作成のパンフレット

厚生労働省が作成した「新型インフルエンザ対策パンフレット」を読んでみた。これがなかなか良くできている。感心してしまった。

「被害想定は難しい」とか「自分の健康も家族の健康も一人では守れない」等々正直に本当の事を述べているし、内容も分かりやすい。いたずらに恐怖を煽る訳でもなく、事実を正確に述べているので一読の価値がある。「助け合いの輪を作っておく」という文言には感服した。まさにその通りだと思った。

なかなか出来が良い厚生労働省の「新型インフルエンザ対策パンフレット」はこちら

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou/pdf/poster10.pdf

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■豪メルボルン大学の主張について

「新型インフルエンザ・ウオッチング日記」さんで紹介されています以下の情報について考えてみたのでご紹介します。

http://www.sflorg.com/comm_center/unv_science/p702_189.html

豪:メルボルン大学の発表(対訳形式で)

“One explanation may be that children were protected by innate immunity while older people may have been exposed to a similar virus in the decades before 1890 which gave them partial but long-lasting protection.

→子供達は生まれつきの免疫によって守られ、一方老人は1890年以前数十年、似たウイルスにさらされてきたことで不完全な、しかし長く残る防備を与えられたとする一つの解釈があるかもしれない。

“Those born after 1890 were young adults in 1918. They did not have the innate immunity of children and as they weren’t exposed to the pre-1890 virus they had little or no immunity against the 1918 virus. We can’t prove it but it is a plausible explanation.”

→1918年において、1890年以降生まれの若者達。彼らは子供の生まれつきの免疫を持っていなかった、そして1890年以前のウイルスにさらされたことも無かった。彼らは少しかもしくは全く1918年ウイルスに対して免疫を持っていなかった。我々はそれを立証できないが、それはもっともな解釈である。
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僕はこの解釈は無理があると思う。何故なら、未知の疫病はいつも若者達を効率的に殺すからである。インフルエンザに限った話ではないのである(過去の記述参照)。スペインフルの時だけ、上記のように免疫の偏りによって若年層が倒れたという話は解釈として無理がある。もう一つ、スペインフルは何も若年層だけを殺した訳ではない。乳幼児や老人も同程度殺している。これは「アルフレッド・W・クロスビー著:史上最悪のインフルエンザ」に記載されている年代別死亡者数グラフを見ればわかることである。死亡者数は「W」字を描いている。これは上記の免疫の偏りに矛盾する。

「W」字の死亡者数グラフにおける、若年層の死亡率の高さは最も不明な点であるが、それ以外も同程度の死亡者数であったことを忘れてはならない。身体的に最も頑健であるはずの若年層で死亡者が多かった理由は現在でも分かっていない。しかし、新興の疫病にはいつも必ず見られる特徴でもあるのだ。

サイトカインはまだ分かっていない事が多すぎる。少なくとも若年層の高死亡率の理由を「サイトカインストーム」というもののせいにするのは、関節リウマチを完治できるようになってからにすべきだろう。

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2008年11月 7日 (金)

■新型インフルエンザ発生の予兆は現在ない

ざっと「新型インフルエンザ」に関するブログを閲覧してみたのだが、「新型インフルエンザ」発生の予兆等について、心配されている向きもあるようだ。しかし現在新型インフルエンザ発生の予兆は無い。これを言い切る為には「新型インフルエンザ」とは何かを定義しなければならないのだが,それは他の正式なホームページに譲ろう。

ただ言えるのは、人類が全く免疫を持たないインフルエンザの亜型が流行を始めたら・・・発生の瞬間は捕らえきれないかもしれない。ある程度広がってから「新型」だったと判断することになるかもしれない。

しかし今は嵐の前の静けさなのか、H5N1が目立たなくなって、恐怖をあおる強毒型の存在は見えなくなってきた。それは同時に、鳥の死亡のマーカーが失われた状態である事も意味する。H5N1は効率的な人人感染まであと2つの遺伝子変異まで迫っていたそうだ。だがそれ以上近づくことは無かった。今冬は季節性インフルエンザの心配だけをしていれば良い年になるのか?それは誰にも分からない。

IgG抗体しか得られない、現在のHAワクチンではあるが、発症/重症化の防止、その後のブースター効果への期待から接種しておくべきである事は、危機管理上は納得のいく選択肢である。今年は国民の充分大多数が季節性インフルエンザワクチンの接種を受けていただきたいものである。そして十分な母集団で、感染予防率の統計を取って欲しいものである。もっともこの統計には感染者が必要となるのであるが(笑)

特にハイリスクグループ(乳幼児、高齢者、慢性疾患を持つ方)には受けていただきたい。現在のHAワクチンは不活化ワクチンであるから、間違っても接種が原因でインフルエンザに罹る事はないのでご安心を。そしてもう一つ、乳幼児、高齢者、免疫低下を持つ方には「肺炎球菌ワクチン」の接種も提案したい。これまたご多分にもれず、感染自体を防ぐ事はできないワクチンなのであるが、重症化を防ぐ可能性はある程度高まる。肺炎は即、命の問題となるので、ハイリスクグループの方は接種を受けておくのも無駄ではないと僕は思う。

ただし、成人の接種は止めておいた方が良いことは、このブログのアーカイブを見ていただければ容易に理解できることと思う。

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2008年11月 6日 (木)

■2008年季節性インフルエンザワクチン接種開始

2008年冬用の季節性インフルエンザワクチンの接種が始まった。妻と二人の子供は11/4(火)に既に接種済みで、僕は11/15(土)に接種予定である。札幌市内の医院での接種であるが、費用は安価で@¥2,100である。今できるパンデミック対策の大きな柱の一つに違いないのだから、接種に迷いは無い。たとえ得られる抗体が「IgG抗体」だとしてもだ。

幸い既に接種した妻子に目立った副反応は無い(まあ当然だが)。僕は夏の「肺炎球菌ワクチン」接種時の悪夢が脳裏にちらつくので、科学的にはナンセンスだと思うのだが、感情としては少々不安がある。(成人の肺炎球菌ワクチン接種時の副反応については、バックナンバーを参照されたい)

話は変わるが、昨今はBCPの策定が流行っているようだ。事業継続計画と呼ばれるこの行為は、一般に社会機能の維持のためと考えられている。しかしそれは一つの事象をある一面から見た考え方であると思う。確かに社会機能維持は国民が通常の生活を継続するのに不可欠なものである。しかし、もうひとつ、社会機能の維持以前に、企業存続自体が国家の存続の為に不可欠な事項である事は疑いもないことではないだろうか?

現在世界のほとんどの国家は自由資本主義である。社会主義国家はそう多くない。自由資本主義では、金を稼ぐ事と納税が義務とされている。だから国民は働くのである。すなわち、社会機能だけを残しても、そこに破綻した企業に属する社員が多数取り残されるとしたらば、機能が機能し得なくなるという事だ。衣・食・住・安全・・・資本主義国家にタダのものは存在しない。それらの活動の源泉となっているのが企業活動である。企業活動が国内の資本の流通を促進し、その中の一部の企業が貿易を行って外貨を得て、その外貨で間接的に原油やその他食料の支払いにあてているのではないか(間接的な外貨獲得という意)

BCPはBusiness Continuity Planの略である。これに対して「事業継続計画」という日本語をあてている。BCPはその時々の状況に応じて常に刷新されつづけなければならない、それを行うのがより高位のBCMである。

BCPは二つの側面を持っているのだ。一つはそのサービスを享受する側から見た側面、そしてもう一つはそのサービスを提供する側から見た側面である。例えば食べ物を買うことができる機能を存続させたとしても、買う金が無くては買うことはできない。企業がきちんと存続し、その結果国家が存続し、国民の所得がある程度守られなくては、結果的にBCPは失敗となるのだ。企業を存続させ、雇用を存続させる事が、国家の存続に繋がる。現代資本主義は悲しいかな、このような状況である。結局は金、資本なのである。我が国のような中継貿易立国ではなお更の事である。

今回の金融恐慌の経緯を見ていると、やはり有事には国家は一時的にせよ社会主義化するのかもしれないと感ずる。新型インフルエンザのパンデミックが無視できない位の被害を世界にもたらした場合、経済上どのような影響が現れるのか?損失金額が数十兆円とかいう想定は聞いた事があるが、ただ定量的に言われても全く実感が湧かない。何割の企業が倒産するとか、失業者数が何人になるとか、所得がどれくらい減るとか、この程度までは想定されているのかも知れない。そうでないと、有事の際の国家運営の大戦略は立てられないはずである。利用できるサービスを残しても、パンデミック恐慌で失業者が多発するような事になれば、そのサービスの提供方法も変わってくるはずだ。

現代社会は複雑だ、しかも国家は巨大である、世界経済は全体像を見渡す事すらできない。インフルエンザ・パンデミックが引き起こす可能性がある事柄を、想像力を駆使して事前に想定しておく事がやっぱり大切なのだ。どこまで想像できるか?どこまでそれに備えられるか?これこそが国家のBCMなんだろうと僕は思う。

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